 【2010年07月29日】 プレゼント
北京に一週間ほど滞在したとき,中国人の知り合いからプレゼントをいただいた。 それが高価そうな茶器である。大きな箱に埋め込み式でセットされている。 私は知っている。中国ではこういうドーンとした,大きなものが贈る人の気持ちをあらわすとされる。だが,どうやって持って帰ろう。大きな袋に入れて手提げにして持たねばならない。荷物が一つ増える。 昔のことだが,やはり知り合いの学者から大きな絵皿を頂戴したことがある。その時も,どうやって持って帰ろうかと,しばし唖然とした。今回もうれしさ半分,困惑半分である。
帰国の日に,早めにチェックアウトを済ませ,荷物はそのままホテルにあずけて,まだ観ていない故宮の見学にでかけようとした。 スーツケースやバックのほかに,例のいただいた茶器セットの入った紙袋もある。ホテルの服務員に「壊れ物はないか」と聞かれたので,「ある」と答える。 そうしたら一筆書けという。何と書くのか。
如有损坏也与贵宾馆无关。 (壊れても貴ホテルとは関係ありません)
なるほど,これなら壊れてもホテル側は責任をとらなくていい。 一筆書かないと,まず中のものが本当に壊れていないかいちいち検査することになるのだろう。あるいは嘗て預かり物が壊れていて弁償させられたという苦い経験があったのかもしれない。
以前,コラムで紹介したことがある一番シンプルな詐欺を思い出した。 「ぶつかり」屋というのだが,こんな手口だ。
鞄をかかえて早足の男Aが,わざと老人にぶつかり,鞄を落とす。鞄の中にはあらかじめ壊れた携帯,ノートパソコン,カメラなどを入れておく。そこへ偶然仲間のBが通りかかったように装い,二人で弁償金,修理代をゆする。
シンプルだが,それだけに逃れるのが難しい。こういうのを応用すればホテルでの壊れ物詐欺になるわけである。
詐欺の話はこれぐらいにして,プレゼントの話に戻る。日本ではこういう場合,「お荷物になってすみませんが」といって手渡す。そういう気遣いがあるぐらいだから,旅行者に壊れやすい壺とか皿を贈ることはまずない。そういう場合は別に届ける手配をしてあげるのが通常だ。中国はともかく「送り手の誠意を前面に出す」のが最優先で,どうやって運ぶかまでは考えてくれない。 そういえば中国人はすごい量の荷物をもって移動する。彼らはああいうのはあまり苦にしないのかもしれない。
 【2010年07月20日】 北京の猛暑
中国は北京に1週間ほど遊んだ。 7月7日の出発だった。着いた日はまあまあの気温だったが,その前日は大変な猛暑だったらしい。なんでも40度を超え,41度ぐらいまで達したという。 ところが政府からの正式発表は39度であった。
これにはわけがある。中国では40度を超すと工場も会社も学校も休みになる。あまりに社会的な影響が大きいので39度におさえたのだという。
本当かどうか,わたしのような旅行者には判断がつかないが,中国人のやり方と考え方が分かって面白い。 第一に,40度をこえたらもう活動を停止するという大らかさが面白い。 次には政府が情報を操作した,数値を変えたに違いない,そう庶民が判断するのも面白い。
 【2010年07月01日】 韓国へ
この歳になるまで韓国に行ったことがない。そういうとみんなから驚かれる。私は用がないところにはあまりゆかない。自分からすすんでゆこうとしない。要するに旅行をあまりしないのだ。そのかわり,人がお膳立てしてくれるとほいほい気軽に応じる。昔は女房がよく旅行に連れ回してくれた。おかげで人並みにハワイやアメリカ,ヨーロッパにも足を運んだ。
中国は用があるからよく行く。しかし,韓国には用がない。行こうと言う人もいない。そんなわけでこれまで未体験であった。 最近,ある会社の役員をしているが,そこの社長が韓国に出張するという。私がまだ行ったことがないというのを聞いて,それではと誘ってくれた。ありがたい。
日本,中国,その間にある韓国。地理的にも文化的にもそんな位置づけで,それほどびっくりすることもなかったのだが,ホテルでは異文化摩擦を体験した。第一日目を終えて,さあ寝るかという時のこと,なんと歯ブラシがないではないか。日本でも中国でも歯ブラシを備えていないホテルなどなかった。いくらさがしてもない。それからモーニングコールの仕方がわからない。電話機はあるがハングル文字しか書いてないのでさっぱり分からないのだ。さらに室内のメインライトを消すことができない。いくらスイッチをさがしてもそれらしいものがない。煌々と輝くライトの元では眠れない。一体どうなっているんだ,フロントに電話をした。夜中の12時ごろのことだ。
すると,深夜のスタッフが受話器をとったが,どうも日本語がわからないようだ。次に英語で話しかけてみた。これもダメ。中国語はもちろんダメ。要するに韓国語しか話せないのだ。外国人が泊まるホテルで英語も通じないとはといささかカッカとした。
ともかくこうしていても仕方がない。私は絵を描いて分からせるぐらいの自信はある。紙とペンをもってフロントに降りていった。まず歯ブラシの絵。これは一発で理解してくれた。さっと引き出しから歯ブラシを取り出して渡してくれた。次はメインライトを消せないという絵だ。これも電球を描き,それがオフになる図を矢印の先に描く。それでわかってくれた。どうも電話機にそういうスイッチがあるらしい。手元の電話の一番上のボタン列をしきりに指さしている。
そうしていると,外から宿泊客の一団が戻ってきた。私の後ろでこちらの用事がすむのを待っているようだ。聞くとも無しに聞くと,彼女たちの言葉が日本語ではないか。くるりと振り向き,いや実は,と事情を話すと教えてくれた。
それによると,まず,歯ブラシはホテルには置かないことが法律で決まっている。資源節約のためで,ホテルの歯ブラシは一回使用して捨ててしまう。これは資源の無駄遣い。ホテルで有料にしておけば自分のを持参するだろう,ということらしい。 部屋のライトの点滅は電話の最上段のボタンを使うのだそうだ。順番に押してゆくと,どのボタンがどのライトかがわかる。それにしてもだ,外国人が宿泊するホテルなのだから,片言の英語,片言の日本語ぐらいわかる従業員がいるべきだ。と結論づけて,部屋に戻った。
プリプリしながら部屋に戻ると,「あ,モーニングコールを聞くのを忘れた」と気がついたが面倒なのでやめてしまった。そのまま寝たが,翌日集合時間に10分ほど遅れた。携帯電話を使ってセットするのだった。
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