MAO的小屋 ~相原茂の隠れ部屋~
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MAO'S Profile
雑誌、新聞、書籍などに寄稿したエッセイ集。
気がつけば包囲網の中

相原 茂
中国式恋愛においては“AA制”(割り勘)はとんでもない。お金はすべて男性が持つのは当たり前。男性が女の子を家まで送り届けないのもとんでもない,と書いた。これはどうもこの通りらしい。

さらに,恋愛の初期にあたっては彼女の友達もさそって食事をすることがあるという。これは彼女としても友達に彼を見てもらいたいという意図がある。親に会わせて食事ならおお事だ。しかし,その前に友達に会わせる。彼女としては,こんな彼氏が出来たという報告も兼ね,ちょっと自慢したい気持ちもある。それに,あとから友達の目から見た評価も聞ける。恋の進め方についてのアドバイスももらえるかもしれない。

さらにすすむと親戚の人,例えばいとこ,中国語でいうと“表妹”biaomèi あたりをかり出して一緒に食事をする。デートだから,食事だけで終わりということはない。そのあとゲームをしたり,ボーリングに行ったり,日本と同じだ。そうして,最後は車で送るわけだ。これら一切の費用が男性持ちだ。

中国の男性が“养女朋友真不容易”yang nüpéngyou zhen bù róngyì (恋人をキープするのは大変だ)とぼやくのも分かる。ちなみに“养女朋友”は「恋人をキープする」と訳したが,“养”yangという語は“养车”yang che(車を所有する)というときも使う。「金魚を飼う」とか「猫を飼う」というのも“养金鱼”yang jinyúや“养猫”yang mao というし,「親を養う」“养父母”yang fùmuもこれだ。面倒をみる,というわけだ。車などは「維持する」だ。つまり「彼女を維持するのも大変だ」ということになる。

恋愛から結婚というのは,二人の私的な関係が「公」のものになることだ。日本だといきなり「お父さん実は紹介したい人がいるんですけど…」となることが多いが,中国の場合は,徐々に「公」化をすすめてゆく。つまりまず,友人に紹介,いとこに紹介という具合にである。こうして自分の知り合いの輪の中に彼をとりこんでゆく。気がつくと男性はすでに包囲網の中にいるというわけである。

このように二人の恋がすでに発生して進行中であれば,「干支が合わない」とか「相性が悪い」などという横やりは入りにくい。しかし,人の紹介で初めて会うときなどは,やはり干支や相性を大いに気にするのだという。
例えば「寅年」生まれの女の子は割を食うことが多い。ちょっと腹を立てると「やっぱり“女老虎”nülaohu (恐い女)だ」と言われる。丑年生まれだと,もちろん“女老虎”とは言われないが,今度は“牛脾气” niúpíqi (強情っぱり)とか“爱钻牛角尖”ài zuan niújiaojian(細かいことにうるさい)という批評が待っている。会う前に,あれやこれや品定めされ,とやかく言われて会ってももらえないことがある。

日本では血液型がよく話題になるが,中国では干支にくらべるとまだまだ影響力が低い。“你的血型是什么?” Ni de xuèxíng shì shénme?(血液型は何ですか)と聞いても,知らないという人も少なくない。ましてや自分の両親世代の血液型となると,ほとんどが知らないようだ。


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