MAO的小屋 ~相原茂の隠れ部屋~
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MAO'S Profile
雑誌、新聞、書籍などに寄稿したエッセイ集。
知らない中国語

中国に行く,すると知らない表現にぶつかる。未知との遭遇である。今回は,車の中で遭遇した。

 知り合いの運転する車に同乗した。中国のナビを使っている。中国のそれも「あと300メートル先を右折です」などと声で教えてくれる。もちろん中国語だが,そこから聞こえてくる,不思議な言い回しがあった。
 はじめはなんと言っているのか分からなかったが,さすがに10遍も聞くと,ほぼ見当が付いた。

  前方有闯红灯照相

一読,おわかりでしょうか?
「前方に“闯红灯照相”がある」というのだ。この“闯红灯”というところが難しいか。“闯”は「突っ込む」という意味だから“闯红灯”で「赤信号を無視して突っ込む」ということだ。そうすると“照相”「写真をとる」ということだろう。
要するに,前方の信号機にはネズミ取りが仕掛けてあるから気をつけろという警告だ。

 この言葉,しかし,発音は次のように,4字+4字で,真ん中で切れるように発音する。

前方有闯 红灯照相

意味の区切りとリズムがずれる。意味的にはすでにみたように

前方有[闯红灯照相]

のようになる。
このように意味の区切りと発音の区切りがずれる例はほかでもよくある。すぐに思いつくのは「日本と中国は一衣帯水の国」などというときの“一衣帯水”だ。意味的には「一つの衣帯水」ということだ。つまり1+3だ。ところが発音は2+2になる。

 一衣+帯水

余計な情報を加えれば,初めの“一”も声調変化を起こす。

ネズミ取りの話に戻ろう。日本だとこんな情報は教えてくれない。いかにも中国らしい。「上に政策あれば下に対策あり」の例だ。
それしても,この情報,本当かどうか。ナビはこのあとに“限速40公里”(制限速度は40キロに)などと続き,運転手に減速を指示していた。そして運転手もたしかに減速していたようだから信用しているのだろう。

ちなみに車のナビゲーターは“导航仪”と言う。わたしは例によって「中国語で何と言うのか知らない未知の名詞」にあうと勝手に「“带路机”というのかなあ」,などと想像たくましゅうする癖があるのだが,今回はちょっと違った。“导航”といえば「未知の大海へ航海する,その道案内」で,なかなか夢があり,格好いい。


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