MAO的小屋 ~相原茂の隠れ部屋~
Home Profile Essay Diary Column Gallery Books

MAO'S Profile
雑誌、新聞、書籍などに寄稿したエッセイ集。
簡単にできる 中国式日本語

テレビなどで「あやしい中国人」が出てくることがある。昔の記憶だが,チャイナ服を着て,ドジョウ髭を生やしている。そんな彼が口にするカタコトの日本語。それは「中国式日本語」だ。
たとえば,中国語には「テニヲハ」がないから,これを省く。

アナタ コレ タベル ヨイ。

それから,動詞の活用もないから,「食べる」は原型のままだ。
形容詞が名詞を修飾するときも,日本語は直接可能だが,中国語はふつう「の」にあたる“的”を加える。

 コレ トテモ オイシイノ パン デス。

日本語にはあって,中国語にはない発音がある。たとえば「行ってきた」「買ってきた」などのつまる音だ。これは「イテキタ」「カテキタ」のように言う。
こんなふうに,中国式日本語はいともかんたんに作れる。

一方,あやしい中国語を操る,「あやしい日本人」は演じられるだろうか。
確かに中国の戦争映画などには,日本の軍人がでてくる。彼らはそこで,「あやしい中国語」を操っている。例えば,

トントンデ スーラ スーラ (统统的 死了 死了)
マンマンデ カイカイデ (慢慢地 快快地)
ニーデ (你的)

などと言うのを耳にしたことがあるのではないか。
確かにこれらは中国語にはちがいないが,「あやしい日本語」と大きくちがうのは,きわめて個別の言い回しにすぎないということだ。応用がきかない。
言い換えれば,語法ルールに頼って,たとえば「形容詞のあとに必ずノを添える」というようなものではないことがわかる。
中国式日本語が文法ルールに依拠して,無限にそれらしい表現が産出できるのとは違う。

以上のことから,何が導かれるのだろうか。何か有意味な知見が生まれそうな予感がするのだが。


他のエッセイを読む