MAO的小屋 ~相原茂の隠れ部屋~
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MAO'S Profile
雑誌、新聞、書籍などに寄稿したエッセイ集。
“寒号鳥”を知ってますか

“寒号鳥”hánhàoniäoとは何だろう。中国人なら誰でも知っているような単語なのに辞書にでていない。
私は今,中国語のリスニングと称して,テープの聞き取りをしている。生徒はNHK中国語会話で生徒役をした浅川稚広さんと北川えりさんだ。お茶を飲みながら,平日の午後,3人で中国語のテープを聞いて過ごす。
人に話すと,「何と贅沢な!」と言われる。これは二通りの意味があるそうだ。「美人女優を生徒にして,それも二人も!」という意味と,「相原先生じきじきの教えを受けれるなんて!」という意味らしい。どちらの意味かは発言する人による。
それはともかく,テープで聞いているのは,中国の幼稚園児が聞くような“故事” gùshi(お話,物語)だ。そこで「“寒号鳥”の話」が出てきたのだ。

「蟻とキリギリス」みたいな話で,「寒くなってきた,明日こそは巣を作ろう」と思っている“寒号鳥”だが,つい日中のあたたかい太陽をみると巣作りを忘れて遊び暮らしてしまう。「明日こそは,明日こそは」と思いつつ,とうとう寒さに凍え死んでしまうという寓話だ。私は昔中国の小学校の国語教科書で読んだ記憶がある。

しかし,この“寒号鳥”,どう日本語に訳すのか,どんな鳥なのか知らない。
どなたかご存知の方,教えてくださいと日記に書いた。そう言いながらインターネットで検索もしてみた。すると“寒号鳥”という語を使ってブログを書いている人がいた。案の定,中国の人だ。日本人では,第一,“寒号鳥”を日本語で読めない。
あるいは中国に同名のアニメがあり,それについての記事だった。中国でのアニメフェステバルに参加した人の報告記事だ。

日本ではどうも「寒苦鳥」というらしい。「雪山の寒苦鳥」という説話があると教えてくれた人がいた。仏教説話だ。これだと「寒さに苦しむ鳥」という命名だ。いずれにしろ,ある特定の鳥の名前ではなく想像上の鳥だ,ということが分かった。日本の『広辞林』には「寒苦鳥」で出ていた。中国語の辞書にもあってもいい。私の編集している辞書に改訂の機会がきたら,今度“寒号鳥”を入れるようにしよう。忘れないといいのだが。

“寒号鳥”はコウモリみたいなものですよ,先生,写真まで出ています。————そう教えてくれたのは私の学生で,想像上の動物かと思っていたらそうでもないらしい。しかし,コウモリでは小学校の教科書でみた挿絵と随分ちがう。はて?と思っていたところ,また情報が入った。
「googleで“寒号鳥”を引くと,上から3つめに<河北省ではいまでもムササビのことを“寒号鳥”と言う>とある」と教えてくれた人がいて,さっそく引いてみた。確かにそうあったので,コウモリ説の根拠が分かったが,おどろいたことに,google検索でトップヒットが私の日記であった。
そりゃそうだ。日本で“寒号鳥”を話題にして3度も4度も話を蒸し返しているのは私ぐらいだ。
なんだか,お騒がせしてすみません。


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