MAO的小屋 ~相原茂の隠れ部屋~
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雑誌、新聞、書籍などに寄稿したエッセイ集。
ハルピンのクリスマス

岸弘子
日本では、クリスマスソングが流れ、きれいなイルミネーションに彩られていることでしょう。

12月22日、もうすぐクリスマスだと、日本人のスタッフに言われるまで気がつきませんでした。先月の今頃、上海に出張に行きましたが、デパートやホテルのホールに飾られた大きなツリー、夜の通りを彩る鮮やかなイルミネーション、クリスマスソングにあわせて流れる人の波を見て「ああ、もうすぐクリスマスだ」と心が躍りました。が、一方ハルピンの街は雪と氷に閉ざされ、午後7時にもなると行き交う人もまばら。それに仕事の忙しさもあいまって、クリスマスのことなどすっかり忘れていたのです。

学生達に「クリスマスは何をしますか」と尋ねても、「別に・・・」「何もしません」という返事が返ってきます。ちょうど大学の期末テストの時期らしく、クリスマスで浮かれているどころではないらしいのです。日本語の授業を「大学の期末試験のため」と欠席する学生も目立ち始めました。当校では、皆勤賞として、毎月出席率100パーセントを達成した学生に50元の奨学金を出しているのですが、この時期、密かにに喜んでいるのは会計さんかもしれません。

反対に、日本のクリスマス風景を紹介すると「どうして日本人はキリスト教徒ではないのに、クリスマスを祝うんですか?」とかえって不思議がられてしまいます。私自身もキリスト教徒ではありませんが、学校がミッションスクールだったこともあり、学生時代は構内の教会に行って、おごぞかなミサに参加するのが好きでした。家族に一年の感謝の気持ちを込めてマフラーを編んでプレゼントしたり、娘とケーキを作ったり。「正月」よりも伝統や形式にとらわれず、自分の気持ちが気軽に表現できる「クリスマス」の方が私は好きなのですが。

中国のテレビCMでも、頻繁に「クリスマスはケンタッキー!!」と流れていますが、どうしてクリスマスにケンタッキーなのかというのは、ほとんどの人が理解していないようです。
確かに、輸入品を扱う百貨店や、街の中央通に行くと、申し訳程度の飾りがされているのですが、一般の商店は普段と全く変わりません。中には、一年中、サンタクロースの人形が置かれていたり、ツリーらしきものが置かれてあったりする店もあるくらいです。まだまだ日本のように中国社会には「クリスマス」は浸透していないようです。

ハルピンは、この時期、雪と氷の世界と化します。先日ラップランドのサンタの事務所を紹介するテレビ番組を見ましたが、ハルピンにサンタのアジア事務所なるものをつくり、観光事業を起こしたらおもしろいのに・・・、と考えてしまいました。なんでも、もみの木もたくさん生えているそうですし、氷祭りのイベントにサンタパレードもプラスして・・・。あまりに寂しすぎるクリスマスに、私の想像はとどまる所を知りません。

この文章を書いた翌日、当校が入っている工大科技園のビルのロビーに、クリスマスツリーが登場しました。しかしその回りには、中華料理店にあるような真っ赤なちょうちんがずらりと吊られているではありませんか。うう・・・ん、今後、どういった形で「クリスマス」が受け入れられていくのか、微妙な気持ちでその飾りを見ながら、ロビーを行き来しています。

大学の運動場には水をまいて作った即席のスケートリンクが登場していますが、町中の道路も踏み固められた雪で即席のスケートリンクになっています。毎日、車同士の衝突や、滑って怪我をする人たちが後を絶ちません。ツルッとくるたびに急いで体勢を立て直す私・・・年とともに鈍くなる反射神経が鍛えられている気がします。(2008/12/23)


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