悲惨な一日
岸 弘子 昨日の陽気とは打って変わって、また真冬に逆戻り。それが思いもよらない悲劇につながることになりました。 昨日、夜遅く雨が降り出し、ああ春が来たなあ〜と雨音を聞きながら眠りにつきました。が・・・・朝起きると一面が真っ白!! おまけに昨夜の雨が凍った上に水分の少ないさらさらの雪が積もったもので、路面は完璧なほどのアイスバーン状態でした。人がすべる、転ぶ、あちこちでクラクションの音。
6時45分に来るはずの通勤バスも、7時を過ぎても姿を見せません。もう帰ろうかなあ・・・と思っていたところに、20分遅れでバスが到着。「道が込んでて、滑って滑って・・・」車のドアを開けるや否や、運転手の愚痴の始まり。ひと言の「対不起」もなくバスが発車しました。
大通りに入ると渋滞に遭遇し、少し進んでは止まり、少し進んでは止まりのイライラ運行。と、突然前を走っていた赤いフォードが横滑りを起こし、バス停に止まっていたバスに突っ込んでいったではありませんか。ちょうどその車が私たちの行く手をふさぐ形になってしまいました。また、クラクション攻撃が始まると思っていた私の予想を裏切る展開が・・・。どこからともなく男の人たちが集まり、バスに頭をうずめた格好になっている車を動かし始めたのです。3人ではだめ、5人でもだめ・・・私たちの車の運転手や、バスに乗っていた男性の先生たちもとび出して総勢10名くらいになったころ、ゆっくりと乗用車は顔を覗かせました。その後、赤いフォードを運転していた女性は、何事も無かったかのよ うに車に乗り込み、手伝っていた人たちも何事も無かったようにそれぞれの車に戻っていきました。
大通りの渋滞を抜けるまでに1時間。やっと郊外の田舎道に入り、車の数も少なくなってホッとするや否や、次なる難関が待っていました。郊外の道は坂道が多いのです。車が登り坂に差し掛かると駆動輪が空回りをする変な音が聞こえ、ずるずると車が後方に下がっていくのを感じました(それも車体が斜めになりながら)。運転手はブレーキを踏みながら、じりじりとアクセルを踏み込んでいきますが、ラチがあきません。すかさず男の先生たちが声を掛け合って社外に出ると、車を後ろから押し始めました。私は効果がないとは知りながら、気持ちだけでもお尻を浮かせたり、手に力を入れてみたりしないではいられませんでした。
格闘すること30分で、いつもは3分もあれば過ぎてしまう緩やかな坂を上りきりました。大仕事を終えて社内に戻ってきた先生達の足元は雪と泥でどろどろでしたが、誰一人愚痴を言うこともなく、また、運転手も「ありがとう」「すみません」のひと言もなく、当然の事をやったまで・・・とでもいうようにそれぞれが自分の座席に落ち着いたのです。
結局、学校の前の急な坂道はどうしても登りきれず、全員車を置いて歩いて学校へ行くことになりました。学校についたころには1限目が半分終わりかけていたころでした。息を切らしてクラスに入ると、学生から「先生!おはよう!!」と学生達の拍手。冷たくなった体が、少し温まった気がしました。
2009年3月6日
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