名前の話
岸 弘子 私が新しいクラスを受け持つとき、一番頭を悩ませるのが、学生の名簿作りです。エクセルに入力して表を作りたいのですが、名前に使われている漢字が見慣れないものばかりで、ピンインを探すのに一苦労なのです。今では、普通の中国語の文章なら、日本語入力と同じくらいの速さでピンイン入力できるようになりましたが、学生の名簿だけは、30名分の名前を打つのに半時間近くかかってしまいます。
また、授業開始前に出席を取るのも一苦労。一番簡単なのは、中国語の発音で読んでしまえばいいのですが、学校側から「日本語の授業ですから、日本での読み方でお願いします。」と指定されています。また、学生たちも、自分の名前が日本語ではどんな発音になるのか知りたくてたまらないらしいのです。「趙」は「Zhao」、「張」は「Zhang」と中国の発音では異なりますが、日本語では同じ「チョウ」です。
ある女生徒の母親が、日本の山口百恵さんのファンだからと、彼女に「百恵」と言う名前をつけたそうです。普通、中国の人の名前を読むとき、「越」は「こし」ではなく「エツ」というように音読みにするので、この原理から行くと「ヒャクケイ」「ハクケイ」「ヒャクエ」「ハクエ」・・・。しかし、かなり不自然です。また、「一」という男子生徒の名前を「イチ」「イツ」と読むべきか・・・。日本なら当然「はじめ」でしょう。とりあえず、名簿のカタカナ表記は「ヒャクケイ」、「イチ」と書いておきましたが、授業中は、私がついつい「ももえちゃん」「はじめくん」とニックネームで読んでしまうので、それが定着してしまいそうです。
「単」という姓も、「単位(中国語では職場を表す)」の「dan」なので、つい「タン」と読んでしまいそうですが、中国で姓として使われるときの発音は「Shan」です。漢和辞典を引くと「ゼン」という音読みがあるので、そのほうが近いかもしれません。 ちなみに私の大好きな「金城武」は、「金Jin」が姓、「城武ChengWu」が名前だそうです。中国の人はそう理解しているようです。日本では「金城(かねしろ)」「武(たけし)」だよ・・・と教えると、「じゃあ、僕は馬宏(うまひろ)亮(あきら)ですか?」という彼は、「馬Ma]「宏亮HongLiang」です。 以前に、社会保険庁が中国人の派遣社員を使って名簿の入力をさせたところ、あまりの誤入力の多さに頭を抱えた・・・というニュースがありました。たかが名前、されど名前・・・こういう小さなところにも日本と中国では違いがあるのだという認識が必要だと思います。
2009/3/21
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