MAO的小屋 ~相原茂の隠れ部屋~
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MAO'S Profile
雑誌、新聞、書籍などに寄稿したエッセイ集。
楽しみなランチ

岸 弘子
ずいぶん前になりますが、中国の映画かなにかで、会社や学校の昼休みには、誰もが自宅に戻り、家族揃ってうどんのような麺料理をおいしそうに食べる映像を見たことがあります。当時、中国人の友だちに、普通、昼休みは2時間で、軽く昼寝をしてから午後の仕事や勉強に取りかかるんだと聞きました。
今では、昼休みは12時から1時の1時間だけが普通で、昼寝をする人も少なくなったようです。また、郊外から何時間もかけて市内の会社に通勤する人も増えて、自宅で食事をする人も珍しくなったといいます。
うちの学校の入っているフロアには、1箇所に給湯器が設置されています。朝9時を過ぎると、給湯器の上に、所狭しとアルミのお弁当箱が並べられます。自宅からお弁当を持参している“お弁当派”の人たちが、保温のために置いているのです。ただ、保温といっても、熱々のまま保温されるわけでなく、人肌程度です。私も一度、カレーを持参して保温してみましたが、人肌程度のカレーは食べられたものではありませんでした。
中国の人たちは「冷めた物はまずい!」と、日本のような愛情弁当を持参する人はいません。保温のお弁当派以外の人たちは、近くの店で食べるか、温かいご飯と熱々のおかずを3種類ほど詰めて売っている「盒飯」(5元程度)を買ってくるか、出前を取るかになります。
うちの事務所には、いくつかの店の「菜単」が貼ってあり、11時半ごろ、誰彼となく「今日は何食べる?」と声をかけます。たいてい、声をかけた人が電話で出前を注文することになります。一番人気は「牛肉麺」で、日本の細めのうどんのような麺に2切れほどの牛肉と香菜が少し、これで3元です。あっさりとしていて、食べやすいので、中華料理の苦手な日本人スタッフのお気に入りになっています。中国人スタッフは、牛肉麺では刺激がない、とよく「麻辣麺」を食べています。私も辛いものは好きな方なので、時々注文しますが、「微辣(辛さ控えめで)」と言い忘れると、口から火を吹く羽目になってしまいます。他には、日本の丼物のような「盖饭」、日本でもおなじみの「炒饭」などが昼食によく 食べられています。普通、昼食にかけられるお金は3元~5元程度ですが、1人前がかなりの量あるので、十分お腹がいっぱいになります。
電話をかけて15分程度すると、ビニール袋をぶら下げて店員さんがやってきます。時々、4,5歳くらいでしょうか、子どもも一緒にやってきて、愛想を振りまいています。たいてい彼らは、お釣りを持ってこないので、細かいお金を用意しておく必要があります。もし、100元札しか手元にない場合は、注文の電話のときにひと言「100元で払うから、お釣りを持ってきて」と付け加えておかなければなりません。
先週、近所に「米线(太目のビーフンのようなもの)」の店がオープンし、ためしに出前を取ってみようということになりました。店のお勧めは、土鍋に入った汁麺なので、それを注文したのですが、料理が6元、土鍋の「押金(保証金)」として30元で36元もかかってしまいました。もちろん、鍋を返せば30元は返してもらえますが、わざわざ店まで鍋を返しに行かなければならず、あれから一度も注文していません。
若いスタッフ達は、私たち日本人スタッフのために、時々外食に出かけ、新しい店を開拓してくれています。事務所に貼られている「菜単」も日に日に種類が増えて、「今日のお昼は何を食べるか」を楽しみに出社しているというスタッフのいるくらいです。家族とお昼を楽しむ人が減ったぶん、職場(中国では「単位」です)でお昼を楽しむ人が増えていると言えるかもしれません。


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