MAO的小屋 ~相原茂の隠れ部屋~
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MAO'S Profile
雑誌、新聞、書籍などに寄稿したエッセイ集。
環境問題を考える

岸 弘子
中国の人が日本社会で生活を始めたばかりのころ、まず近隣の日本人とトラブルになるのがゴミの出し方です。分別回収が常識となった日本で、缶も瓶も紙くずも一緒になったゴミ袋が放られていたら、問題にならないわけがありません。

中国では、基本的にゴミは分別しません。特別なゴミの日もありません。私はアパートの7階に住んでいましたが、どんな袋でもいいので、ゴミをまとめてドアの外に出しておくと、朝には誰かが収集してくれています。(ただ、あまりきれいな紙袋に入れてしまうと、ゴミではないと判断されるのか、2,3日そのままの姿で置かれてあったことがありました。)不思議なことに、半年間、毎日のようにゴミを出していたのに、そのゴミを収集している人には一度もお目にかかったことがありません。

ハルピンで暮らし始めたばかりのころは、ゴミを混ぜて捨てることに罪悪感を感じ、習慣で燃えないゴミ、生ゴミ、ペットボトル、と分けて捨てていました。しかしながら、お恥ずかしいことに「人間は楽な方に流れる」という言葉のとおり、すぐにその手軽さに慣れてしまいました。缶も、ガラスも、生ゴミも、さっと一つにまとめてポイ!ですから。ただ、このゴミがどのように処分されているのか考えると、ぞっとしないでもありませんでした。

ハルピンを流れる松花江も例外でなく、中国各地で、近隣都市の近代化の影響を受けて河川の汚染が進んでいるそうです。川面をペットボトルやビニール袋がプカプカ・・・・工場排水や家庭排水が垂れ流しで悪臭を放つところもあると聞きます。日本の高度成長期を知る人たちは、今の中国の姿は当時の日本を彷彿させると言います。しかしながら、日本の比ではない国土、人口を有する中国の規模を考えたら、中国が環境問題を無視して開発に突っ走ったらどうなるか背筋が凍りつく思いがします。

ある専門家が、「中国人が1家庭に1台車を持ち、最新の家電をそろえるようになったら、地球上の石油資源は底をつき、地球温暖化は急速に進むだろう」と警鐘を鳴らしています。
ただ、中国政府が何もしていないわけではなく、テレビCMでは「大切な水資源を子子孫孫へ」「車に乗るより歩こう!」と政府のコマーシャルが流れています。また、ほとんどのスーパーではマイバック運動が徹底していて、うっかり手ぶらで買い物をして「袋をください」と言うと、めんどくさそうに「5角!」。「次からは袋を持ってくるのよ。」と言うのは、環境のことを考えてのことか、打ち終わった会計の後に5角をもう一度入力する面倒からくるのかは定かではありません。

区役所で仕事を始めて最初の日に注意されたのは「昼休みに役所内をコンビニの袋を提げて歩かないこと」でした。区民の方から、区役所の職員のくせに、環境のことを考えていないとクレームが寄せられるからだそうです。ちょっと顔を曇らせた私に、そっと「外から見えないようにカバンに突っ込んじゃったらいいのよ」と上司が囁いてくれました。人間、一度覚えた便利さを捨てて、不便だったころの状態に戻るのには、非常に労力を要するということでしょう。

7月から無錫でのお仕事の予定が入り、23年ぶりの長江を見ようと心を躍らせています。どうか、私の目の前に広がる大河が、以前と変わらない美しい流れでありますように!!

2009年5月29日


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