MAO的小屋 ~相原茂の隠れ部屋~
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MAO'S Profile
雑誌、新聞、書籍などに寄稿したエッセイ集。
モンスターペアレント

岸弘子
今日は、夏季短期日本語講座の初日でした。実は前日まで教室の設備がそろわないばかりか、テキストも届かない、参加する生徒の名簿もできていないという有様でした。おまけに教室の中は埃とゴミだらけで、手伝いに来てくれていた先生たちとモップと雑巾を片手に大掃除開始。今までいろいろな所で教えてきましたが、 これほど中国らしい学校の教室を見たのは初めてです。(『あの子を探して』という映画に出てくる田舎の小学校を想像してください。トイレも、久しぶりに見た便器無し、戸も無し、ちょろちょろと水が流れる溝に向って用を足すという旧式トイレです。)

そんなこんなで、今日の授業開始は朝8時半からではありましたが、心配で少し早めにうちを出て、8時少し前に学校到着。すでに教室には学生(13歳から16歳の新中学生です)がいっぱいで、机が足りない、座る場所がないと大騒ぎの真っ最中でした。そもそも、30人1クラスが精一杯、それ以上になったら、学習の効率が下が るばかりか、学校から要求されているレベルまで指導する自信はないと話していました。しかし、ざっと見渡しても40人以上は確実にいるでしょう、机のない学生が、椅子だけを持って、教室の後ろでうろうろしています。また、その混雑に輪を掛けて、教室の外には両親、祖父母と見られる人たちがうろうろ・・・。学校関係者を 見つけては、何かにと意見を言っているようです。(後で聞いた話によると、私が日本人かどうかを確認する保護者が多かったとか)。

何とか授業を始めたものの、30名定員の教室いっぱいに膨れ上がった学生たちの熱気と、それに群がる蚊、なんともやりにくくて仕方がありません。1時間目が終わるころ、学校の責任者から、隣にある講堂を開放してもいいと話がありました。休み時間を利用して、1班10人ずつの移動が始まり、最後の班の移動を見届けると 私も教材を持って移動です。ドアを開けてびっくり、大学の講堂のような整った設備。「どうして最初からここを使わせてもらえなかったの?」と誰もが思わなくありませんでした。ところが、授業を始めると、マイクは音が出ない、パソコンの画面を投射できない、プリントが足りなくなってコピーに行くと、コピー室が閉まって いて使えない・・・・。ああ、やっぱり中国。午前中3時間の授業が終わるころは、声は枯れてガラガラ、全身汗びっしょりでした。心配で手伝いに来てくれていた二人の日本人の先生たちの助けがなければ、到底乗り切れなかったと思います。実は、二人の先生とは、無錫に来てから知り合いました。異国の過酷な条件で業務をこ なす先生同士、すぐに状況を把握して動いてもらえるので、とても心強い存在です。

1日の授業を終えて、改めて参加した学生数を聞いてびっくり。午前60名、午後40名の合計100名。そして、今日、新たに参加を希望する学生の保護者が押しかけて、急遽30人のクラスを増設することになったそうです。そういえば、授業の間も、教室の外には常に保護者の姿。私は基本的に、短期講座の場合はテキストを使わ ず、自作のプリントで済ますことが多いのですが、保護者の手前、格好だけでもテキストを1冊決めて欲しいと学校から頼まれました。また、授業の開始時間も、塾との兼ね合いを考えて、保護者から一番希望の多かった時間に設定したそうです。中国でも、一番恐るべしはモンスターペアレンツのようです。この講座の最終日、ス ピーチコンテストを行い、優秀者を日本へ招待するらしいのですが、さて誰を選ぶか・・・今回のプロジェクトの関係者のご子息も混じっているだけに、難しい選択を迫られそうです。


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